特別インタビュー SCSK株式会社 奈良部 様
取材協力
SCSK株式会社
プラットフォームソリューション事業部門
ITプロダクト&サービス事業本部
ネットワークプロダクト部
販売促進課長
奈良部 朝康
※インタビュー実施 2018年3月1日時点
インタビュアー
株式会社テックデザイン
代表取締役社長
河野 哲治

要約

Clinic-Netの特長

  1. クリニック全体に横串を通してサポートする、他に類を見ない情報システム部門の外部委託サービス
  2. クリニックが安心して外とつながるために必要なインフラサービス
  3. 遠隔でサポートに着手するため無駄な待ち時間がない

ヤマハネットワーク製品の特長

  1. 高品質で壊れにくく、末永く使うことができる
  2. 国産だからコミュニケーションはすべて日本語で完結
  3. 販売終了後も無償で5年間サポートを継続するのでセキュリティも安心

Clinic-Netとヤマハネットワーク製品で得られるメリット

Clinic-Netとヤマハネットワーク製品でネットワークやITに割く時間と労力を削減し、医療に集中できる環境が実現。

目次

クリニック全体を横断的にサポートする他に類を見ないサービス

河野
先日は弊社のお客様を導入事例として取材していただきました。弊社の「Clinic-Net」はヤマハネットワーク製品の販売者の目にはどのように映りましたでしょうか?
奈良部
取材前に監視システムとうかがっていましたので、型にはまったサービスなのかなという印象を持っていました。とはいえかなりの通信記録を取って分析を行い、お客様に毎週レポートを提出したり、セキュリティ情報の発信をされているとのことでしたので、他に類を見ないサービスであることは認識していました。 しかし、実際にお客様のところにうかがってお話を聞くと単なる監視システムではなく、情報システム部門の外部委託サービスであることが分かりました。お客様のサービスへの信頼性も高く、人と人とのつきあいがきちんとできているという深さも感じた次第です。やはりシステムだけで運用をしていくと「そこはうちのサービスではありません。」とサポートのシャッターを閉じてしまうケースがあると思うんですが、御社はシャッターを閉じずに「ひとまずお話だけは聞きましょう。」という態度できっと接してらっしゃるんだろうな、というのがお客様のお話からにじみ出ていました。
奈良部 朝康 氏 SCSK株式会社 奈良部 朝康 氏
河野
ありがとうございます。奈良部さんは数多くのヤマハユーザー企業様を取材をされていますが、弊社のように包括的なサービスを提供されている企業様はいらっしゃいますか?
奈良部
いいえ、現状では御社を除いてクリニック全体に横串を通してサポートされているところは聞いたことがない、というのが実感です。医療業界では相互のシステム間を横断的にサポートする存在がないのではないかと常々思っていました。実は3〜4年くらい前から医療業界について色々と調査をしているのですが、やはり電子カルテのネットワーク、MRIのネットワーク、受付のネットワークなど各システムは個別に構築されていて、それぞれでインターネット接続が必要な場合はルーターが3台置いてあるという状況だったんですね。 各システムは「お互いに手を付けないし、お互いに関与しない」というスタンスなのでお医者様のところにはスパゲッティのように複雑な配線があり、我々ヤマハ製品を提案する側としてはそれをすっきり整理したいなという思いがありました。ただ、我々は間接販売を主務としているので、ぜひそこを誰かと一緒にというのはずっと思っていたところです。
Clinic-Net施工前後の様子Clinic-Net施工事例。ネットワーク機器と配線が整理されずに配電盤のなかに押し込められ熱がこもっていることも少なくない。

ヤマハ製品は壊れにくいから安心して末永く使える

河野
ヤマハネットワーク製品はビジネスユーザーにはよく知られていますが、お医者様や事務長にお話をうかがうとご存知ないことがほとんどです。家庭用のルーターや、NTTからレンタルしているルーターをそのまま利用されているケースが非常に多く、ヤマハルーターをご案内すると「え!?そんなに高いルーターが必要なの?」と言われます。ヤマハネットワーク製品を知らない方には普段どのようなことをご案内されていますか?
奈良部
3つありまして、ひとつは「ハードウェアが壊れにくい」という点です。クリニックであれば医療、お店であれば販売と、皆様本来のお仕事があるなかで、ネットワークのことも常に気にしていなければならないというのは普通の製品であれば考えられないことです。さまざまなシステムがネットワークに接続し連動していますので、ネットワーク機器が壊れてしまうと業務が止まってしまいます。ごく当たり前のことですが、壊れにくさをヤマハネットワーク製品の良さのひとつとして挙げております。 やはりメーカーとしてヤマハという名前を聞いたときに、ネットワーク製品ではなくピアノであるとか、楽器を思い浮かべやすいというのは否めないところです。しかし楽器を作っていることは、製品のクオリティの高さを示していることにもなるのではないかとも思います。コンサートなどプロ用に使われる楽器は非常にシビアな品質管理と品質保証がされていますが、それはヤマハネットワーク製品にもフィードバックされており、楽器と同様に非常に高いクオリティで製造されていることが壊れにくさにつながっています。
河野
弊社は屋外でデジタルサイネージを運営しているのですが、夏場は直射日光で内部の温度が50度を超える環境になります。動作保証外の環境であることを承知のうえで、ヤマハルーターをサイネージの中に設置して何年も使っていますが、これだけ高温の過酷な環境で使っていても一向に壊れないことを実際に体験していますので、ヤマハネットワーク製品の壊れにくさについては絶大な信頼を置いています。この堅牢性は本当にありがたいです。
奈良部
ありがとうございます。家庭用のネットワーク製品と比較すると少しお値段が高いというのはその通りなのですが、壊れたら捨ててしまったり買い換えるというのではなく、存在を気にせず末永く使っていただくために高品質である、ということは申し上げられるかと思います。
屋外広告デジタルサイネージ直射日光を遮るものがなく、夏場は内部温度が50度を超えるLEDビジョンの内部でもヤマハルーターは安定稼働。

国産だからコミュニケーションはすべて日本語で完結

河野
ふたつ目はどのような点でしょうか?
奈良部
国産ですのでメールでも電話でも日本語でコミュニケーションが完結することです。海外メーカーに問合せをするときのように、文化的背景の違いによるコミュニケーションの難しさもありません。機器の操作画面はすべて日本語ですし、ドキュメントもすべて日本語で読めるというのは大きなアドバンテージだと思います。
河野
技術資料がすべて日本語で読めるのは本当に助かります。助かると言えば、新機種に入れ替えても設定ファイルがそのまま使えるのもいいですね。
奈良部
機器を使っている方が困らないように、というのはいつも非常に気にしています。ハードウェアの更新でもソフトウェアの更新でも既存の設定がそのまま使えて、かつセキュリティも確保されるところは優秀な点だと思います。ソフトウェアを作っているのは国内で我々が対面している人間ですので、もしソフトウエアに問題があった場合は、安心して日本語でお問い合わせください。
ヤマハ日本語技術資料ヤマハネットワーク製品はさまざまな資料がすべて日本語で用意されているだけでなく、質・量ともに充実している。
引用元:https://network.yamaha.com/setting

販売終了後も無償で5年間サポートを継続

河野
3つ目はどのような点でしょうか?
奈良部
月々のメーカーサポート料金がないので安くご提供できることです。何かセキュリティに問題が見つかった場合はできるだけ早く対応し、ファームウェア(機器に内蔵されている基本ソフト)のアップデートを無償で提供しています。生産終了した製品についても同様ですので、セキュリティについては安心してお使いいただけます。
河野
ネットワーク機器ではサポート契約をしていないと最新のファームウェアをもらえないことがよくありますよね。販売が終了した製品でも無償でアップデートを継続していただけるのはユーザーとして非常に大変ありがたいですが、ビジネスとしては大変なのではないでしょうか?
奈良部
経営的には色々と大変だと思います。ただ元々のコンセプトが壊れにくい、長く使っていただきたいというところにあるので、使っていただく限りはなるべくサポートしていきたいと考えています。生産終了から5年間という区切りはありますが、その間においては何らかの対応をさせていただくというのを基本的な方針としています。 新しいファームウェアを公開する際にも、事前にかなり時間をかけて検証していますので、ヤマハも我々も、品質に関してはなるべく皆様にご迷惑をおかけしないよう努力しています。
河野
対応されるスピード感も素晴らしいと思います。以前RTX1210が販売されて間もない頃、御社にメモリリークの不具合を報告させていただいたことがありますが、1〜2週間で新しいファームウェアが公開されて対応の早さに驚きました。
奈良部
ご指摘いただいたからこそという部分もございます。弊社とヤマハの連携の良さというのは今後も保ち続けたいと思います。皆さんに耳を傾けて製品を開発すると言うことはヤマハも我々SCSKも全員前提として持っていますので、そこは引き続き美徳として持っておきたいと思います。
河野
ユーザー第一で親身に対応していただけることをいつも有り難く感じています。ヤマハさんは非常にユーザーに近いところにいて寄り添ってくれている感じがします。
奈良部
私どもは年に2回大きなイベントを実施しています。ひとつは「Interop」、もうひとつは秋の全国セミナーです。それぞれのイベントで新製品や新しく開発している製品の試作品を参考出品をしているのですが、そこで色々な方にご意見をうかがいつつ、製品をどうしていくかを考えています。各イベントにはヤマハの人間も同席させて皆様にふれあう機会を増やすようにしていて、開発者もその場に来ています。製品開発は部屋に閉じこもって自分たちだけで行うものではなく、作ったものを見ていただいて、頂戴したご意見を製品にフィードバックするサイクルを持って開発しています。このふたつのイベントは今後も継続して是非やっていこうとヤマハも言っています。
河野
ヤマハさんはTwitterでも積極的にユーザーとコミュニケーションを取られています。私は匿名アカウントでよくヤマハネットワーク製品のことをツイートするのですが、@yamaha_sn にしばしばリツイートされます。
奈良部
ありがとうございます。ヤマハのTwitterのアカウントはユーザーとのコミュニケーションに長けた方がこのアカウントを運営されています。
ヤマハネットワーク製品アップデートセミナー2017 毎年秋に全国で行われるヤマハネットワーク製品アップデートセミナーには数多くのユーザーが参加している。
写真引用元:https://router-switch-jirei.jp/archives/734

Clinic-Net もヤマハも目指しているところは同じ

河野
弊社のサービスはヤマハネットワーク製品でネットワークを構築することで成立していると言っても過言ではありません。
奈良部
非常に有り難いお話です。ヤマハ機器の中に入っている標準ツールや機能でもClinic-Netと同じようなことをしようとしていますので、ヤマハが考えているネットワークの管理、ネットワークの監視というものを同じ目標を持ってやっていただいているのが、実はClinic-Netなんじゃないかと私は思っています。 これはTwitterを運営されている方も言っていたのですが、「Clinic-Netと目指すところは同じではあるけれど、見える化をしたり、あるいは経路をたどっていったり、ネットワークをヤマハ製品で固めることで実現できることを、視覚的で皆様が使いやすいように今まさに作っているところ。テックデザインさんは非常に良くヤマハ製品の特性を理解されていて、既にZabbixなどを使って実現していらっしゃる。ヤマハと同じところを目指していらっしゃるのだな。」と申しておりました。
河野
非常に高いご評価をいただいて恐縮です。ユーザーとしてこれ以上嬉しいことはありません。
奈良部
ユーザーにとって使いやすいというのは、イコール使っていることを意識しないことなのではないかと思います。しかしそれは誰かが代わりに見ていてくれるからこそ達成されていて、クリニックにとってはそれが御社のClinic-Netであり、クリニック以外であればヤマハのLANマップ機能を使っていただいたら嬉しいなと思っています。
河野
昨年末の新製品発表では、応答していない監視カメラを自動的に再起動する機能など、便利な新機能が多数紹介されていました。
奈良部
ちょっとしたことなのですが、そのちょっとしたことにかかる時間が実は意外と大きいのではないかと思っています。クリニックの話に戻すと、そのちょっとしたことが電子カルテなのか、受付なのか原因が分からなかったりすると、あっちに電話しなければならない、こっちに電話しなければならないとなってしまいます。御社のような仕組みがあるとすぐに解決できるので、皆さんネットワークを快適にお使いいただけて、仕事も快適にできるというところにつながるのではないかと。そこがヤマハが目指しているところです。
LANマップ ネットワークに接続されている機器の情報が一目で分かる「LANマップ」機能

ネットワークは公共インフラに近い存在

河野
以前奈良部さんとお打合せをさせていただいた際に、Clinic-Netの料金はサービス内容を考慮すると非常に廉価だとご感想をいただきました。私がクリニックにうかがってご案内をすると「毎月2〜3万円はちょっと高いね。」と正反対のご意見を頂戴することが多いのですがどう思われますか?
奈良部
他に比べるサービスがないからだと思います。今までにないサービスですので、金額が出てきた時点でとりあえず高いと思ってしまうのが心理的にあると思います。 お客様にはネットワークを道路や街灯のような普段町中で接しているインフラに近いものとして捉えていただく必要があると思います。外の世界とつながるためのインフラですね。道路や街灯には皆さん直接お金を払ってはいないのですが、税金という形で必ず費用をお支払いいただいているはずです。しかも将来にわたって継続的にご負担をいただいています。非常に見えにくいのですが、費用を負担をされているのは間違いありません。 ネットワークは特定の限られた人だけが使うので、自分で直接お金を支払う必要があるところは道路や街灯と違いますが、適切に維持し続けなければならないインフラであるところは同じです。Clinic-Netの利用料金については、運用やサポートに対して支払う料金というより、安心して外とつながるためのインフラ維持・利用料金とお考えいただくのがよいと思います。
河野
公共インフラのように、ネットワークも使っていることを意識しない状態が理想的な姿だと私も思います。医師が本業ではないネットワークやIT、セキュリティに悩まされず、医療だけに集中していただける環境をつくることが本来我々が提供すべき価値であると思います。
奈良部
仰る通りだと思います。医師が「早いネットワークです、便利なネットワークです。」と言われても、それがどう自分の仕事とつながるのか考えても非常に分かりづらい。その状態で2万円です、3万円ですと言われてしまうと「あれ?高いな。」と思ってしまう。 しかし「これでネットワークのことを一切気にしなくていいですよ、我々にお任せください。任せていただければ何かあっても電話一本いただければ遠隔ですぐ見ますよ。」というのは他ではないサービスだと思うんです。通常、連絡をしたらクリニックまで作業をしに来てもらわなければいけないですよね。来てあちこち見てもらって、自分の机の下に潜り込んで機器をいじり回されたりすると、もう診察ができる環境ではないと思うんです。サポートエンジニアの到着を待っているだけの時間は本当にもったいないですし、まず遠隔でサポートに着手できるのは大きなメリットだと思います。

まとめ

河野
最後にClinic-Netへのご要望などはありますでしょうか?
奈良部
ぜひクリニックを運営されている医療法人さんや先生方にClinic-Netのことを広く知っていただきたいというのが今の思いです。先ほど申し上げたように、色々なシステムが併存する環境の中で、ネットワークは複雑になってしまっているのが実状だと思います。 今後高齢者の方も増え続けますし、医療は今まで以上に重要な存在になっていくと思います。そこでITのシステムが足を引っ張るというのは美しくないですし、関わる人間としてはそうなって欲しくないと思いますので、なるべく多くの方に御社のシステムを利用していただくことで、そこにかかる時間と労力を減らしていただければと思います。 お客様にお仕事へ集中していただきたいのは私たちも同じ思いですので、家庭用のネットワーク製品よりはやや高価かもしれませんが、是非ヤマハネットワーク製品を使っていただきたいと思います。
河野
どうもありがとうございました。

取材協力

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